プロジェクト実施地域
ビハール州 ガヤ市スジャータ村/ニーマ村/バルミキーナガル村/ゴンガリヤ村

活動の背景・課題

ビハール州は、インド国内でも識字率の低い地域のひとつで、その教育水準の低さは、子どもたちの将来にも大きな影響を与えています。
教育格差が広がると、就職の道を閉ざされた子どもたちが増え、職業の選択の自由を奪われることになります。

中流階層が急増しているインドでは格差が顕著になっており、それはガヤ地域の子どもたちにおいても例外ではありません。
私立学校に通える子どもたちは、幼稚園から大学まで英語の一貫教育を受け、塾や予備校に通うことが当たり前になっています。

それに対し、政府の公立学校に通う子どもたちには、ヒンディー語が主要言語、教師が学校に来ない、教科書が配られない、といった、歴然とした学校教育の「質」の格差があります。

また、子どもたちは、そこにただ学校があれば通えるというわけではありません。
家のすぐそばに学校があったとしても、様々な理由により通うことができない子どもたちがいます。

活動内容

ニランジャナは、授業料が払えなかったり、制服や教科書を買うことができない子どもたちでも通えるように、3つの学校での支援を行っています。
年間約800名の子どもたちに、義務教育の期間を終えるまで学校教育を無償で提供しています。

教育理念は、「他者への思いやりの心を育てること」。
学校には、ヒンドゥー教、イスラム教、仏教、シーク教など、さまざま宗教背景を持つ子どもたちが一同に学び、すべてのカーストの子どもたちが、分け隔てなく一緒に机を並べています。

学校教育の中で、特に力を入れているのが、「英語」、「一般教養」、そして「国際交流」です。
世界情勢を幅広くとらえ、国境を越えた視野を持つことができるよう、世界各国からのボランティアを受け入れ、授業やワークショップに積極的に参加することで実践的なコミュニケーション能力を培っています。

【スジャータ村本校】
設 立:1998年 生徒数:約350名 教師数:約15名

【ニーマ村分校(BEAM SCHOOL)】
生徒数:約180名 教師数:約5名

【ゴンガリア村分校】
生徒数:約60名 教師数:約2名

卒業後の子どもたち

ニランジャナスクールを卒業した子どもたちが、どういう進路をたどるのか。

政府の中学校、高校に進学するのが一般的です。
ただし、政府の学校では、教師が来ない、授業をしない、座席が足りないなどの理由で、肝心の授業が受けられないことがあるため、中学校・高校で授業を受けながら、ニランジャナスクールが無料で提供する「シニアクラス(塾)」に通って不足分を補っています。

そして、子どもたちは、高校卒業の年に「ボード試験」という大きな試験を受けます。
これは日本のセンター試験のようなもの。
この結果次第で、どのカレッジに出願するかが決まり、大学・大学院に進学した後に、就職という進路をたどります。

しかし、インドは多産多死社会であり、人口の増加に伴う深刻な就職難に、未来を担う多くの若者が直面しています。
幼稚園からカレッジまで、私立校で一環した英才教育を受けていても、就職できない若者もいるのが現状です。
家庭の経済力が教育の質だけでなく、就職さえも左右し、たとえ義務教育を修了できたとしても、貧困のサイクルから抜け出すことが非常に困難になっています。

そこで、現地パートナー団体「トラスト」では、進学を希望するニランジャナスクール卒業生に対し、奨学金による支援を行っています。
『遠州敦子奨学基金』にバックアップを受け、試験と面接をパスした奨学生(毎年10~20名)への学費支援です。

それと並行して、ニランジャナスクールで中学、高校の卒業資格が取得できるような体制づくりにも取り組んでいます。

地域のすべての子どもたちが学校に通えるようになるためには、まだまだ多くの支援が必要です。
本校のすぐ裏にある、アウトカーストのコミュニティには、未だ学校に通えていない子どもたちが100人以上存在します。
周辺17の村々についても同様、ブッダガヤから距離が離れれば離れるほど、識字率が低くなっているのが現状です。

支援方法について、詳しくはこちら>>

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